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在庫は増やさない方が良い?

  • 執筆者の写真: Yアカデミー
    Yアカデミー
  • 3月9日
  • 読了時間: 3分
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質問です。


手元に100万円の現金があり、10万円の人気商品(11万円で販売が可能)を仕入れるとします。

100%販売先があれば110万円になりますので最大10万円を儲けることができます。

何個仕入れることが正解でしょうか?



例えば、需要が100%の場合は10個仕入れるでしょう。


では需要が50%のときはどうしますか?

5個しか仕入れない人もいれば、販売できる可能性が高いと判断し10個仕入れる人もいるかもしれません。


ではさらに需要が30%のときはどうしますか?

確実なところで3個仕入れる人もいれば、破損や品質不良が心配で念のために5個仕入れる人、あるいは需要が高まると儲けが増えるので、きっと販売できると信じ10個仕入れる人もいるかもしれません。


では全く需要が見通せないときはどうしますか?

精度の高い需給ソフトで難しい計算をしたり、何らかの分析データをベースに長年の経験や勘を頼りに販売できるであろう数量を予想して仕入れ量を決めるのではないでしょうか。


結局、何個仕入れることが正解かというと「将来が確実に予想できない限り、正解はない」ということが答えになります。


在庫は結果次第で”善”にも、”悪”にもなります。

”となるケースは「追加受注が入った」「仕入れたもののなかに不良品があり、一部商品を販売することができなかった(在庫があったために対応できた)」「品薄で市場価格が高騰した」などです。

”となるケースは「マスコミで騒がれた割に全く売れなかった」「保管料が増えた」「品質が劣化した」「価格が下落した」「廃棄しなければならなくなった」などが考えられます。

つまり、儲かれば”善”、損をすれば”悪”になります。


一般的に、人は「利益を得る」より「リスクを回避する」という傾向が強い(損失回避の法則)と言われています。

従って、上記の例でも、損をするリスクを考えると「儲からなくとも良い。損をしない確実な需要量を仕入れる」と答える人が多いのではないかと推測します。


しかしながら、実際の購買現場に行くと、在庫を抱えているケースが多く見受けられます。

担当者に話を聞くと「欠品になることが一番怖い」と考えているようで、結果として過剰在庫になっていました。

私も逆の立場であれば同じことをしているかもしれません。

と言うのも、販売は天候や気候に大きく影響されます。

仮に明日の天候や気候を確認してから発注し納品されるのであれば問題ないのですが、現実的には受注から納品までは何日間もかかります。

輸入しているものであれば、場合によっては数か月を要することもあります。

また天候や気候の予測ができるようになったとしても、それらのほかにも販売を左右する要因は多数存在しています。

それらまでもしっかり把握したうえで角度の高い在庫量を確保するということは至難の業と言えます。


損失回避の法則に従うと「損をする」というリスクを回避するため、人は在庫を持たない方向に向かうと考えられますが、実際にそのようにはなっていません。

それは企業、担当者が「欠品させないこと」を最重要課題と考えているからです。

それらが最重要課題であるからこそ「在庫を抱えて損をする」というリスク以上に「欠品によって会社や取引先に迷惑をかけてしまう」というリスクを回避しようとしている結果であろうと推測します。


冒頭で「将来が確実に予想できない限り、正解はない」と解説しましたが、企業にとって「会社や取引先に迷惑をかける」リスクが最重要課題である限りは「在庫は増やさない方が良いとも言い切れない」ということがある意味、正解なのかもしれません。

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