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Aー19.あるべき姿の創造(具体例)

  • 執筆者の写真: Yアカデミー
    Yアカデミー
  • 2023年8月22日
  • 読了時間: 1分

更新日:2024年3月23日

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『あるべき姿の創造』の具体例について解説します


経営者、学生、主婦の3ケースをつくってみました。ここではSWOT分析から導かれた外部環境と問題、またこれまでわかっている状況に基づいて①ミッション、②ビジョンを決めます。

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(問題解決のフロー図)


「生ハム」を加工販売している経営者A                   


SWOT分析
外部環境(機会)
イタリアからの生ハム輸入禁止が続いている
生ハムの国内生産量は年々増加傾向にある
家族で作るおつまみがマンネリ化しつつある
外部環境(脅威)
コロナによる「家飲み」でおつまみの需要が高まっている
すでにチーズやアボカドを生ハムで包んだ商品が販売された
潜在的な問題

① 熟成生ハムに代わる第2の柱(商品)が無いこと
② 将来のあるべき姿がないこと

ミッション
「食品で感動を与えること」
(解説)
まずは実家の精肉店ではなく食品加工メーカーに就職したこと、「素材を活かした商品づくりになっていない」との理由から会社を辞め実家の精肉店で新たな食品開発に着手したこと、食の知見を広げる目的でイタリアへ留学したことから経営者Aは食品に対する想いが強いと考えられます。経営者Aはイタリア留学時に食べた熟成生ハムに感動を覚え、この生ハムを商品化しました。そしてこの商品は評判となりました。お客さんへも商品の良さを知ってもらいたいと丁寧に説明していますので自分が感動した気持ちを消費者にも感じてもらいたいと思っているかもしれません。従って「おいしい商品を作りたい」という先には「食品で感動を与えたい」という想いが強いと言えます。経営者Aは生ハムに感動したことをきっかけに自分でも作りたいと思うようになり新たなチャレンジを開始し成功しました。そうすると感動の先には新たなチャレンジ、すなわち現状を超える動きができることを示し、それを社会(消費者)に伝えたいとの想いがあるかもしれません。そのように解釈するとミッションは「食を通じチャレンジ精神を育てたい」とも考えることができますが、飛躍しすぎな気もしますのでここでのミッションは「食品で感動を与えること」にしました。

ビジョン
「ここでしか味わえない食肉加工品を世に広めること」
(解説)
イタリアからの輸入停止や巣ごもり消費を受け、国内の生ハム生産量は増加傾向にあります。このような背景があるなか、同社の熟成生ハムを製造販売することによって他社品との差別化を図ることができ人気商品となりました。しかしながら熟成生ハムも知名度が上がり購買頻度が増えれば増えるほど「感動」は薄れ「当たり前(慣れ)」になり、最終的には「飽き」につながることが懸念されます。現在、同社の収益は熟成生ハムが主力となっていますが、それに次ぐ商品が無いことが潜在的な問題として挙がっていました。人は想像を超えた商品に感動を覚えますので、熟成生ハムに次ぐ商品を販売することが必要になってきます。新たな傾向として、おつまみや総菜のマンネリ化を打破した商品の需要が高まっています。経営者Aはイタリアに留学し食を学んできたとは言え強みは食肉加工になります。それらを総合的に考えるとビジョンは「食肉のおつまみ、惣菜の新商品を販売すること」と掲げることができます。しかしながらこのビジョンでは具体的になりすぎているため、抽象化した内容で消費者にワクワク感を持ってもらう目的で「ここでしか味わえない食肉加工品を世に広めること」にしました。



「卒業後の進路」を考えている大学生B                   


SOWT分析
外部環境(機会)
労働移動円滑化が推進されている
就職・転職に有利な資格がある
若い世代は自分らしさを大切にする傾向がある
外部環境(脅威)
日本の平均年収は年々減少傾向にある
人手不足でDX化が推進されている
企業の倒産件数が増加傾向にある
潜在的な問題

① ストレスを抱え込む(抱え込みやすい)こと
② 職を失うこと

ミッション
「地域を活性化させること」
(解説)
「進路」をテーマに分析してきましたが「進路」は目的であると同時に最終的な目的を目指すための手段と言えます。従ってここでのミッションはできる限り最終的な目的に近いものを選びたいと思います。大学生Bの顕在的な問題は自分の軸が無いことでした。そして軸が無い人生を続けていくとストレスを抱える、あるいは職を失うかもしれない潜在的な問題があると導きました。大学生Bの強みは、地域活性のボランティアサークル活動で地域の子供への学外授業や高齢者の困りごとを手伝うことで市から表彰されたこと、献身的かつそれにやりがいを感じていることが挙げられます。ミッションは社会(消費者)の困りごとを解消できるものをテーマにする必要があります。少子高齢化による地域の衰退はおおきな社会問題であり、その社会問題に対し大学生Bの強みを生かすことができます。つまり地域を活性化させることは社会のニーズと自身の性格がマッチしていると言えます。大学生Bがどのような進路を選んだとしても地域活性に参加することはできます。企業に就職しても大学時代のようにボランティア活動はできますし、地域活性のNPO法人に所属しても活動はできます。顕在的な問題を解決し、自分の軸を持つことができれば独立して地域を活性させる企業を立ち上げることもできます。そのような理由からミッションは「地域を活性化させること」としました。
ビジョン
「自分の軸を確立すること」
(解説)
顕在的な問題の解決策がビジョンになります。大学生Bの場合、顕在的な問題が解決できないといずれ潜在的な問題が発生すると導いています。従ってそれらは互いに関係性が強い問題になります。ミッションで記載した通り、社会ニーズと自分の性格がマッチしているものの自分の軸が確立されないとこれまでの人生のように環境如何によって流されてしまう傾向があります。例えば会社員として働いたとしても自分の軸が無ければ日々の業務に疲れ、ボランティア活動まで手が回らない可能性もでてきますし、いまのままでは地域を活性させる企業を立ち上げる行動力もありません。従ってビジョンは「自分の軸を確立すること」としました。



「貯金」を考えている主婦C                        


SOWT分析

外部環境(機会)
デジタルの発展によりC to Cモデルができている
可処分所得が減少している
副業を認める企業が増えつつある
外部環境(脅威)
増税が予定されている
企業の倒産件数が増加している
潜在的な問題

① ライバルが増えること

ミッション
「家事テクで家族を笑顔にすること」
(解説)
「貯金」をテーマに分析してきましたが、貯金は起業するための手段でした。また起業したいと思った先には家族と一緒に過ごす時間を増やしたいこと、人前で話すことや人に教えることが楽しいという目的がありました。しかしながら、これらの目的はあくまでも「自分がやりたいこと」がベースになっています。それが社会(消費者)ニーズにマッチしているかどうかを考える必要があります。主婦Cは家事テクを子供や夫に教えることで家族も楽しんで手伝いをしてくれ、自分が自由になる時間をつくることができました。つまり家事テクを通じて楽しい時間が増えたと言えます。従ってミッションは「家事テクを通じて家族を笑顔にすること」としました。
ビジョン
「サロンを早く開業すること」
(解説)
顕在的な問題として支出を計画的に管理していないこと、サロン(店舗)での開業にこだわっていることを導きました。可処分所得が減っていることや増税が予定されていることから今後とも夫の収入のみで貯金をすることは難しいと判断しました。一方で潜在的な問題としてライバルが増えることを導きました。現在はC to Cのビジネスモデルができていること、また副業を認める企業が増えてきていることから、同じようなサロンを考えている人がいるかもしれません。先行者優位という言葉がありますが、新規事業をいち早くスタートさせ社会(消費者)に認知してもらえば、それが絶対的な強みに変えることができるようになります。従ってビジョンは「サロンを早く開業すること」としました。



ミッションやビジョンに正解はありません。大切なことは、これまで行ってきた外部環境と内部環境の分析結果に基づいたミッションやビジョンになっているということです。それらが結びつかない場合は、内部外部環境分析やブレインストーミング、ロジカルツリーが曖昧になっている可能性があります。従って改めて分析し直すことをおすすめします。

あるべき姿の創造についての解説は以上です。またネタが思いついたら追記します。


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