Eー20.人材育成すること
- Yアカデミー
- 4月8日
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更新日:7月1日

『人材育成』について解説します
経営層と現場を結ぶ管理者は組織において極めて重要な役割を担っています。ここでは上長の意識づけを図るための管理者に対する育成方法の参考例についてご紹介します。
1.管理者
1.責任と権限を与える
一般的に、組織設計には「責任・権限一致の原則」「命令一元化の原則」「統制範囲の原則」「専門家の原則」「例外の原則」の5つの原則があると言われています。
中小企業は、経営者と従業員の距離が近く、また人数が少ないために、”社員一丸で取り組もう!”との想いが強く、役割や責任と権限が曖昧になる結果、リーダーであっても”誰かがやってくれる” ”何とかなる”と甘えがちになります。
従って、役割のほか、責任と権限を明確にすることにより、上長の”リーダーとしての自覚”を促すことが必要になります。
【注意事項】
役割を明確にし、責任と権限を与える以外に、管下のチームを統制できる人数に制限します。
仮に統制できる人数以上になるときは、サポート役を配置すると良いです。
一般的に管理者の統制範囲は10名以下が推奨されますが、平気で40名のメンバーを抱えさせられることもあります。これではチームを統制することはできません。
インテリ上司に限って「私は管理できていた」と豪語しますが、ほんとうに不満や不都合なく管下のメンバーを管理できていたかどうかはわかりません。
優秀なメンバーに恵まれるという単純に運が良かっただけの可能性もあります。
メンバーたちはリーダーを頼らず、仲間同士でルールを決め、それをしっかり守っていたから問題が顕在化しなかっただけかもしれません。
部下の信頼を得るためには、メンバーの話を親身に聞き、現場を慮る必要があります。
管下のメンバーが”自分はリーダーに受け入れてもらっている”と感じれば、自然とリーダーや会社に対する愛着も沸いてきます。
また指揮命令は、必ず直属の上長から与えられるものであることを再認識してください。
これも良くあるケースですが「掲示板を見るように」「○○から聞いた?」など、他人事のように平気でメンバーに話すリーダーもいますが、これはいただけません。
管下のメンバーが同じことをしたとき、リーダーとしてOKしますか?
例えば、体調不良で休むとき、リーダーではなく、別の人に伝言しても良いですか?
直接話をしたくないから、「休みます」と記載したメモをリーダーの机に置いて、後から「机の上にメモを置いておいたので見ておいてください」と言われて納得しますか?
「相手にはするのは良いけど、自分がされるのは嫌だ」ということだけはないようにしてください。
2.研修を受けさせる
社外で研修を受けることによって、社内では気が付かなかった世間の常識を知ることができるようになります。
また研修を受講させてもらったリーダーは”会社に期待されている”という想いも芽生えますので、会社の期待を裏切るまいと受講意識も高まります。
中小企業は人数が少なく、かつ明確な組織や業務が専門化していないために、自分より職制が高い者の指示を受ければ、”あれもこれも”と対応してしまうケースがあります。
しかも、その行動が上役のご機嫌伺いになるため、”頑張っている風” ”仕事している風”な印象を上役に与え、結果として評価が上がることも多々あります。
つまり、本来行うべきリーダーとしてのミッションよりも、上役の印象を良くすることが目的となってしまい、それが管理者の役割であると誤認しているリーダーがいないとも限りません。
そのような誤認を是正すべく、社外の別の企業で働くリーダーを知ることで、本当の意味の管理者としての新たな気づきを得ることができるようになります。
【注意事項】
継続性を持たせる方法として、リーダー研修の受講を昇格条件にすること、新規管理者教育に組み込むことをお薦めします。
経営層が管理者に”リーダー論”の興味を持たせることも大切です。
経営層が推奨することで管理者自ら書籍や動画を閲覧するよう仕向けることができるようになります。
時に人事評価が”頑張った風”や”仕事している風”で認められることがあります。
その理由は、最終的に上役が人事評価を決裁しますので、その上役の印象に残っている従業員が評価されるからです。
そのような評価で管理者になった者は同じような基準で部下を評価することになるでしょう。
しかしながら、このような評価をしていては、人のモチベーションは高まりません。
モチベーションを高めるためには、透明性、公平性がある適正な人事評価を実施することです。
そのためにも管理者に評価者訓練を受講させることをお薦めします。
3.社員・パート従業員の手本になる
経営層や管理者がどんなキレイごとを述べても、体現していなければ意味はありません。
「経費節減」と言いながらも自分は経費を使う、「人件費削減」と言いながらも自分たちの給料は下げない、「ルールを守らせろ」と言いながらも、自分はルールを守らない・・・。
1人の管理者は管下の数名~数十名に、また1人の経営者は数十から数百人の従業員に見られています。「リーダーは人格者(人徳者)であれ」と言う言葉がある通り、指示命令する以上は自らが率先し管下に手本を示すことが必要になります。
【注意事項】
職制に見合った待遇を管理者に与えるだけでは不十分です。
管理者の心のケアも必要になります。
部下から不平不満を言われ、それでも経営層との交渉を続ける管理者をたまに見かけます。
現場は現場の実態を一番良く知っています。
その要望を真摯に受け止め必要な経営資源を現場に提供してください。
仮に提供できないとしても、管理者が現場に伝えやすいよう納得できる理由を提供してください。
2.一般社員・パート社員
1.スキルマップを作成する
一般社員やパート社員のなかには、出世したくないケース、敢えて正社員にならないケースなど、自由な働き方を求める従業員も多くいます。
そのようなケースであっても、自分の仕事やスキルが認められること、自分が会社の役に立っていることが認められるとうれしいものです。
会社が個人のスキルや貢献度に応じて感謝の気持ち(評価)を示すことで、従業員の承認欲求は満たされ、モチベーションアップにつながります。
そのためには、会社が求める人材像を示すことが必要であり、そのときに役立つツールがスキルマップになります。
スキルマップを作成し、そのスキルが獲得できるよう会社側サポートしていく。そしてスキルを獲得した従業員に報酬を与える。
その社内制度を構築することが必要になります。
この活動を続けることによって、従業員が業務できる範囲は増えていき、結果として、多能工化による業務拡大、小集団チーム運営による業務拡充が図れるようになります。
【注意事項】
事業によっては作業する際に法的資格が求められることがあります。
当然ながら、法定期資格がないまま作業を行わせる行為は放冷違反になってしまいます。
従って、自社に必要な法的資格は何か?その有資格者は自社に何名いるか?など社内の有資格者を増やしていくことが必要になります。
また社内には技術的(職人的)なノウハウが蓄積されており、その技術を、身につけるための社内資格を定めることも必要になります。
法的資格同様に自部署の現状を把握し、作業できる人材を増やしていくことが望まれます。
昨今はウェブを介したEラーニング、リスキリングも活発化しており手軽に学習する機会が増えています。それら機会を提供することで自ら学ぼうとする従業員を支援し、成長を促す必要があります。
2.キャリアパスを導入する
マズローの5段階要求の最上位に「自己実現欲求」があります。
近年の情報技術の発達は目まぐるしく、社会的な価値観は早いスピードで日々変化しています。消費者のライフスタイルも変化し、個人だけでなく企業もその変化に適応できなければ淘汰される時代になりました。
例えば、個人においては、自分の時間を有意義に過ごすために柔軟な働き方を求める、あるいは転職を繰り返すことによって自分のスキルを磨き、その道のプロフェッショナルを目指す傾向も強まっています。
一方、企業においては、”終身雇用”は崩壊し、必要な人材はゼネラリストからスペシャリストにシフトする、あるいは必要な人材のみを採用する方向にシフトしつつあります。
つまり、個人においては、「早い段階から人生設計を描き、明確なビジョンや目標を持つこと」が、会社においては、「変化する外部環境に対して将来ビジョンを描き、事業計画、人員計画を策定していくこと」が必要と言えます。
個人と会社、双方がWin-Winな関係になるために活用されるツールとしてキャリアパスがあります。
キャリアパスは、個人のモチベーションを高める効果があります。
例えば、従業員にとっての将来ビジョンが「この会社でスキルを身につけて別の会社にいくこと」である場合、会社はそのスキルを身につける支援を約束します。一方で”別の会社にいきたい理由”を問い、それが会社として改善できるならば改善し、できなければ、従業員の幸せを願い、送り出します。
また、従業員が「仕事がつまらない。楽しい仕事を探す」という悩みがあった場合、会社は、楽しい仕事とは何か?を問い、その内容が把握できたのであれば、社内にその道があれば、その道を示し、無ければ従業員の幸せを願い送りだします。
つまり、従業員の人生設計(理想像)を聞き、それがわかったのであれば、その支援をおこないながらも、「会社に残りたい」と思えるプランを会社側が提供すればよいだけです。
企業からすると、従業員の要望ばかり聞いていては会社にとってマイナスなことばかり。せっかく支援してやっても、条件が良い環境があれば、そちらへ移る・・・と思われるかもしれませんが、それでも支援すべきと考えます。
当然ながら、会社として従業員の希望を100%叶えることはできません。残念ながら、会社を去る従業員も出てきます。それでも「会社がここまでしてくれた」と円満にお別れできるのであれば、従業員は退職後もその会社を応援してくれるはずです。
まずはキャリアパスを導入し、会社と従業員がWin-Winな関係が築けるようにすることが必要です。
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