Eー22.適切な投資を行うこと
- Yアカデミー
- 7月1日
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『適切な投資』について解説します
企業は、経営資源を活用し、自社のビジョン実現に向け日々努力しています。「ヒト」に関しする投資は、『Eー21 人員計画を策定すること』に記載した通りです。「ヒト」以外の経営資源としては「モノ」「カネ」「情報」があります。ここではそれらヒントについて解説します。
1.設備
設備投資は企業を成長させるための重要な戦略になります。
DX化や最新設備の導入など、利益が期待できるのであれば投資も積極的になりますが、維持管理や設備機械の取り換えなど、利益が発生しない投資に関しては固定費(減価償却費)の増加に繋がるため、消極的になりがちです。
固定資産が減れば資本回転率も良くなるため、当然といえば当然のことです。
しかしながら、そもそも原価償却費は、投資費用を複数年に配賦して支払ったかたちにするものになるため、償却費がゼロになっている状態はいわば「タダで商売できている」状態と言え、利益に直結します。従って、償却費がゼロになってからが勝負だという考え方があるかもしれません。
一方、償却期間は耐用年数に基づいて設定されるため、償却期間が過ぎたことには新たな設備投資や維持管理のための修繕費として、これまで費やしてきた償却費同等の支出があるはずです。
当然、そのまま使えるケースもあり、儲けを維持するためには投資を抑えようとする気持ちが働きます。しかも安全に関する投資は、経費や償却費だけが加算され、利益に直結するものではないため、投資を控えようとする気持ちもわからなくはありません。
ちょっと、考えてみてください。
そもそも、償却費は固定費になるため、その費用は商品価格に反映されているはずです。
一般的に、販売当初は、新規設備の購入や開発、宣伝広告などで使用する費用が商品価格に一定金額反映されます。しかしながら販売数量が増えるにつれ、その費用は限りなくゼロになっているはずですが値下げされないケースもあります。
例えば、10,000円/個の商品のうち1円を設備投資に費やした費用を配賦したと仮定します。
商品が1万個売れれば、設備投資に費やした費用が回収でき、それ以上売れれば、1個売れるたびごとに1円の利益が会社に入ってくることになります。
従って、本来であれば、9.999円/個に価格を変えるべきですが、必ずしもそのような値下げはおこなわれていません。
当然ながら、増加分の利益は新たな設備投資や維持管理のための修繕費を積み立てておく意味もあります。
問題は、それらをおこなわず、企業側の利益として確保し、年間の利益計画に織り込むことです。
企業を存続させるためには如何にして固定費を下げるか?がポイントになりますが、企業存続が危ぶまれる赤字企業でない限り、”減価償却費はあるもの”という前提で毎年同額の投資を続け、守り(経費削減)ではなく攻め(販売促進)の投資が望まれます。
設備投資ステップ | 内容 |
固定資産の把握 | 現在、どれほどの資産があるのか?減価償却費はどれほど残っているのか?調査します |
投資額を決める | 当年でいくら償却費が無くなるか試算し、同等の償却費が発生するような投資額を算出します |
現場を確認する | 投資額を机上で確認するだけでは不十分。高額でも必要な投資があるはずです。 |
複数業者でコンペする | 高額な投資に関しては複数業者から見積もりを取ったうえで選定します。なお同じ機械設備であってもアフターフォローが異なるケースやメーカー拠点が近くにある、代替品の入手が容易など価格以外のメリットが無いとは言えないので総合的に判断します。一方、定額な投資に関しては複数業者でコンペしたり見積もりの入手に時間が掛かると業務負担が増え、反ってロスにつながる可能性があります |
費用対効果を確認する | 投資計画はきちんと作成するが、その効果を見ないことも多いです。投資の失敗を隠すために減損処理せず、損益の悪化を招くこともあります。投資が失敗したことが判明した際は、即座に売却、撤退した方が傷口が浅く済むこともあります。 |
2.情報
計画達成により得られるビジョンを共有します。
会社が前年を大きく上回る利益計画を達成したとしても、従業員の給料はその伸び率に比例するとは限りません。
従業員が働く動機は賃金だけではないため、必ずしも同率にすることでモチベーションが上がるとは限りませんが、会社が儲かっても従業員への還元が低いのであれば頑張ろうという意欲は起こらないのではないでしょうか。
尤も、企業が永続的に存続するうえでは、剰余金を確保することは必要になります。
問題はその剰余金が経営理念、ミッション、ビジョンの実現に欠かせないものであることを従業員に示さないことにあります。
特に損益計算書だけを従業員に開示し、”業績が悪いこと”を理由に”残業削減”や”経費節減”を声高に伝え、貸借対照表を開示しない企業は、従業員を不安に煽るだけになります。
おそらくは、不安を煽ることで従業員に頑張ってもらおうと考えているのでしょうが、反って離職者の増加やモチベーションの低下につながる可能性もあります。
会社、従業員ともに誇りを持ち、ワクワクするようなビジョンを共有することで人生設計する上での心の余力を提供することが必要になります。
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